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水質の指標

ここでは、水質の指標について説明したいと思います。水質の指標には、人の目で見て判断できるものや、化学的に薬品を使って調べるもの、細菌に関するもの、有害物質に関するものなどたくさんあります。それらを一つ一つ説明していきます。


透視度

水がどれくらい透明なのかを示す指標です。透視度計というメスシリンダーのようなガラスの容器を使って測定します。測定方法は、透視度計に透視度を測定したい水を入れ、ゆっくりと水を底から抜いていきます。底には二本線で十字が書かれています。その二重の十字がはっきり見えたときの水の高さが、その水の透視度となります。採水してからしか測定できないので、河川水などの水が流れている現場で用いられます。

透明度(transparency)

これも水がどれくらい透明なのかを示す指標です。測定方法は、直径30cmの白い円板を水中にゆっくりと沈めていき、円盤が見えなくなったときの水深を読みます。次に、いったん見えないところまで沈め、徐々に引き上げていき見えるようになった水深を読みます。沈めるときと引き上げたときに読んだ水深の平均値が透明度[m]になります。これは水面が揺れていると測定できないので、池などで用いられます。

濁度(turbidity)

水がどれくらい濁っているかを示す指標です。測定方法は、分光光度計を用いたものや、比色管を使って目で判断するものがあります。

色度(colour)

水中の溶存物質やコロイド物質による類黄色の程度を示す指標です。測定は、人の目による測定しかありません。

蒸発残留物質(total solids : TS)

試料を蒸発させた後に残る物質の総量のことです。測定は、試料の水分を水浴中で蒸発させた後、乾燥機の中で105~110℃で二時間乾燥させます。そこで残った物質の重量を測定して、試料1L中に換算[mg/L]して表します。

浮遊物質(suspended solids : SS)

水中に浮いている固形物質のことで、粒径はだいたい1μm以上のものです。測定は、ガラス繊維ろ紙法と遠心分離法があります。TSと同じように試料1L中に換算[mg/L]して表します。きれいな水では粘土成分が多く、汚濁が進むにつれて、有機物の割合が多くなります。強熱したときになくなってしまうのが有機物で、なくならないのが粘土成分です。

pH

水素イオンの量を表す指標で、0~14までの値をとります。水素イオンの量とは言いましたが、pHが小さいほど水素イオンが多く、pHが大きいほど水素イオンの量が少なくなります。測定は、pH計を用いて行います。pHは水質の変化や水処理の効率に影響するので重要な指標となります。

電気伝導度(coductivity)

陽イオンや陰イオンの総量に関係する水の伝導性を示します。海水がどの程度混じっているかなどの指標となります。

アルカリ度(alkalinity)

水中に含まれるアルカリがどれくらいの酸を中和できるのかを示す指標で、必要な酸の量をそれに対応するCaCOのmg/Lで表したものです。測定は中和滴定によって行います。

硬度(hardness)

水中のCa2+とMg2+の量を示す指標で、対応するCaCO3のmg/Lで表したものです。これが高い値だと、ポットに白い付着物が多くついたり、石鹸の泡立ちが悪くなったりすることがあります。

溶存酸素(dissolved oxygen : DO)

水中に溶けている酸素のことで、濃度[mg/L]で表す。好気性細菌はDOを消費して分解を行うため、DOが低ければ有機物による汚濁が考えられる。DOは水中の藻類による光合成や、大気との境界面での酸素の溶解によって供給される。

生物化学的酸素要求量(biochemical oxygen demand : BOD)

従属栄養の好気性細菌が20℃で試料に含まれる有機物を分解するのに必要なDOの量[mg/L]をいいます。生物によって分解できる有機物の量が間接的にわかることになります。つまり、有機汚濁の指標として用いることができるということです。

化学的酸素要求量(chemical oxygen demand : COD)

試料に含まれる有機物を酸化剤によって分解するのに必要なDOの量[mg/L]をいいます。BODと同じように、有機汚濁の指標として用いることができますが、酸化剤による分解なので生分解性に関する情報は得られません。

全有機炭素(total organic carbon : TOC)

水中の有機物の炭素をmg/Lで表したものです。有機物質の炭素換算濃度や有機汚染の指標として利用できる。

窒素(nitrogen)

大気や、人や動物の排泄物、工場排水、化石燃料の燃焼などによって発生するもので、水域の富栄養化の原因となる物質のひとつです。

リン(phosphorus)

水中ではリン酸塩や有機リンとして存在しています。農薬や下排水由来のものがあります。富栄養化現象との関係は強い。

細菌(bacteria)

一般細菌、大腸菌群(coliform group)、寄生虫(parasites)にわけられ、体内に入った場合害を及ぼす病原性のものもある。

重金属(heavy metal)

環境基準の項目として指定されているものは、カドミウム、鉛、六価クロム、ヒ素、水銀、セレンの六つです。カドミウムや水銀は公害の原因物質でもあります。工場排水が主な発生源で、たとえ微量でも生物濃縮されるため注意が必要です。

有機塩素化合物(organic chlorinated compound)

一般に生分解性が低く、毒性や発ガン性をもつものが多くあります。PBやダイオキシンも有機塩素化合物に含まれます。PCBは燃えにくい、揮発性が低い、酸・アルカリに強い、電気的絶縁性が高いという特徴を持っています。また、ダイオキシンは史上最強の毒物といわれる吸着性の高い不溶解性の物質です。塩素を含んだゴミを、低温域で燃焼させると発生します。PBやダイオキシンは生体内ホルモンのかく乱作用が疑われている物質です。


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