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魚道


魚と川でもふれたように魚道は魚を川に呼び戻すという意味で非常に重要です。しかし、川にただ別に魚が通れる道を作ったからといってそれが魚道になるというものではありません。これまで作られてきた魚道の中にも正常に機能しない魚道がたくさんあります。そこで、まずは魚道を作る上で注意しなくてはならない点についてから始めます。

○魚道造成で留意する点
1.遡上中の魚は流れに平行に定位
2.魚の遊泳速度
魚には血合い筋(赤身)と普通筋(白身)の二種類の筋肉があります。その役割は血合い筋は疲労が少ないため常に使われており、普通筋は非常時に使用されます。
平常時:巡航速度 体長×2〜3/sec 血合い筋
非常時:突進速度 体長×10/sec   血合い筋+普通筋
3.魚道の幅>魚の尾のふり幅
魚の尾のふり幅 体長×1/2

以上の三点に注意しなくてはなりません。1は魚道内にしっかりとした流れがなければ魚が迷ってしまって産卵場にたどり着けません。2は魚道内の流れが速すぎると遡上できない魚が多くなってしまうので魚の遊泳速度に合わせて魚道を設計しなくてはなりません。3は尾のふり幅よりも狭い魚道ではまともに泳ぐことはできないので幅のある魚道が必要になります。

従来の魚道でも上の三点を考慮したものもありました。しかし、その方法がまずかったのです。例えば、(1)川には多くの支流があります。その支流と魚道との差別化がうまくいかず農業用水路などに魚が迷い込んでしまうことや(2)魚道の設計には限界流速が用いられていました。つまり、魚道の設計では射流になってしまう可能性が全く考慮されていなかったことなどがあります。

魚道の造成には予算やスペース、メンテナンスといった条件がついてまわります。そのため魚に合わせるべき条件を軽く考えてしまい、本来の機能を損なってしまったというのが過去の失敗ではないでしょうか。設計に携わる方には妥協せずにしっかりと計画していただきたいものです。


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