河川などにおける自浄作用と溶存酸素量との関係を、BOD試験を元に導いた式があります。それをストリーター・フェルプスの式といい次のような式で表されます。
ここで、Dは溶存酸素不足量[mg/l]といい $D=Cs-Ct$ ($Cs$:飽和溶存酸素、$Ct$:時刻$t$での溶存酸素量)で表されるものです。$K_1$は脱酸素係数[1/日]といいBOD濃度$L$ [mg/l]との積でBOD濃度の減少量を表したものです。$K_2$は再ばっ気係数 [1/日]といい溶存酸素不足量$D$との積で水中への酸素供給量を表し、水面の乱れが大きいほど大きな値になります。添え字の$0$は初期値を表します。
この式は溶存酸素垂下曲線を描く元になる式です。この式の理解の仕方としては、右辺第1項の係数を見ると$K_2$が大きいほど分母が大きくなるので溶存酸素不足量$D$は小さく、初期BOD濃度$L_0$が大きいつまり負荷が大きいほど$D$が大きくなります。また、カッコ内を見ると脱酸素係数$K_1$が大きく再ばっ気係数$K_2$が小さいほど$D$は小さくなります。第2項を見ると初期溶存酸素不足量$D_0$は小さいほど、$K_2$が大きいほど$D$は小さくなります。右辺全体では、時刻$t$が大きいほど第1項カッコ内の差は小さくなり、第2項は小さくなります。これは感覚的に自浄作用を理解したときと、一致しているのではないでしょうか?
しかし、この式もBOD試験の話でしかなく実際の河川などにおいては、有機物は吸着されたり沈殿したりしてDOを消費することなくBOD濃度が減少することがあります。すると、実際にはこの式で求めたものよりも溶存酸素不足量は小さくなります。それを解消するためにK1を
ここからは、ストリーター・フェルプスの式を導いてみましょう。導き方は二つの微分方程式をたてそれを解くだけです。
まず一つ目の微分方程式を考えます。一つ目はBOD濃度の式です。有機物の分解速度は有機物の質量に比例すると考えられるので、
質問をいただいたので追記します。
○質問温度、塩分が変化するときの飽和溶存酸素量を知ることはできませんか?
○回答Weissの式を用いて知ることが可能です。Weissの式については、http://www.answers.com/topic/oxygen-saturation-1(英語)に書かれています。日本語のページは見つけられませんでした。
簡単にWeissの式について説明します。Weissの式は1970年にWeissが提案した経験式です。式には定数が多いですが、次のように表されます。
飽和溶存酸素濃度を知るには便利な式なので、ぜひ利用してください(^^)