>生態学>食物連鎖

食物連鎖(food chain)

食物連鎖は、皆さんよくご存知だと思いますが、生物集団において様々な生物が摂食されていく関係のことをいいます。食物連鎖は、その出発点が生きた植物であれば生食連鎖といい、出発点がデトリタス(生物の死骸や破片、排泄物の総称)であれば腐食連鎖といいます。生食連鎖や腐食連鎖ははっきりと区別されておらず、食物連鎖も一本の鎖というわけではなく複雑に絡み合った関係なので、食物網と呼ばれることもあります。

食物連鎖では生物は生産者、消費者、分解者と区別されます。生産者は通常光合成を行う植物を指します。植物は二酸化炭素と光を用いて、たんぱく質やブドウ糖、デンプンといった有機物を生産するため生産者と呼ばれています。植物は地球上で最も現存量の多い生物です。

消費者は炭素源を有機物に依存している従属栄養生物を指します。消費者の中でも分類があり、生産者を摂食する動物を一次消費者または植食者、一次消費者を摂食する動物を二次消費者、二次消費者を摂食する動物を三次消費者、・・・・といいます。このように段階的に分けたものを栄養段階といい、高次のものほどその現存量は少なくなります。その現存量をピラミッド型の図で表したものを生態的ピラミッドといいます。

生産者と一次消費者のエネルギーの流れを下に示します。
食物連鎖 エネルギーの流れ
B:最初の生体数、G:純成長量、P:被食量、D:枯死量・死滅量、R:呼吸量、F:不消化排出量です。

植物が光合成によって生産した有機物の総量を総生産量(Pg)といいます。また、呼吸によって無機化した有機物の量を呼吸量(R)といい、総生産量から呼吸量を引いたものを純生産量といいます。純生産量は基本的には成長にまわされますが、生物体となった後消費者によって摂食されたり(被食量(P))、枯死する部分(枯死量(D))があります。だから、純成長量(G)は純生産量から被食量と枯死量を引いたものになります。

動物が摂食した食物の量を摂食量(I)といいます。摂食量から不消化排出量(F)を引いたものが同化量(A)です。同化量から呼吸量(R')を引いたものが動物の純生産量です。純生産量から被食量(P')と死滅量(D')を引いたものが純生産量(G')です。簡単に書いていますが、エネルギーの流れを押さえておくことは重要です。

最後に分解者は生物の死骸や排泄物を摂取・分解して生活しています。細菌類や菌類を指し、有機物を分解して無機物に戻すので分解者と呼ばれています。また、戻すことを還元と言い換えて還元者と呼ばれることもあります。


[ページの上へ] [環境の大学~環境を学ぶ~]