二次処理を終えた処理水のBOD、SSは原水の10%程度しか含まれていません。ということは、これ以降通常の沈殿などを用いても、時間を浪費するばかりで水質の改善があまり見られなくなります。そこで、より水質のよい水を作り出すには、別の新たな手法を導入しなくてはいけません。また、富栄養化を防ぐに窒素やリンを除去する必要があります。
高度処理には、様々な手法があります。その様々な手法をまず、表にして示します。
処理対象 | 関連水質項目 | 処理方式 | 目標水質(除去率[%]) | |
---|---|---|---|---|
硝化 | NH4+ - N Kj - N |
硝化促進型活性汚泥法 | Kj - N (80以上) | |
栄養塩類 | 窒素 | NH4+ - N NO2- - N NO3- - N T - N , Kj - N |
循環式硝化脱窒法 | T - N (60~70) |
硝化内生脱窒法 | T - N (70~90) | |||
ばっ気-無酸素-好気法 | T - N (60~70) T - P (70~80) |
|||
リン | PO4 3- - P T - P |
凝集剤併用型 生物学的窒素除去法 |
T - N (60~90) T - P (70~80) |
|
凝集剤添加活性汚泥法 | T - P 0.5mg/l 以下 | |||
嫌気-好気活性汚泥法 | T - P 1mg/l 以下 | |||
晶析脱リン法 | T - P 0.5mg/l 以下 | |||
有機物 | 浮遊性 | SS | 急速ろ過法 | - |
凝集沈殿法 | - | |||
生物膜ろ過法 | - | |||
溶解性 | BOD , COD | |||
膜分離法 | - | |||
オゾン酸化法 | - | |||
接触酸化法 | - | |||
活性炭吸着法 | - |
このように窒素、リン、浮遊性SS、溶解性BOD、CODと対象とする水質項目が分けられています。つまり、処理方式と対象水質項目とがほぼ1対1の関係になっています。それでは、窒素除去、リン除去について具体的にどのような過程で行われているのか見てみましょう。
○循環式硝化脱窒法
この方法は、無酸素タンクでは脱窒反応が、好気タンクでは硝化反応が行われています。脱窒反応は、脱窒細菌が有機物を用いて酸化態窒素を気体の窒素に還元させることです。硝化反応は、硝化細菌がアンモニア性窒素を亜硝酸性もしくは硝酸性窒素に酸化されることです。窒素は、無酸素タンクで窒素ガスとして除去されるだけですが、除去率は60~70%あります。
○嫌気-好気活性汚泥法
この方法は、好気中でリンを蓄積する性質を持つ細菌を用いて、余剰汚泥の中にリンを含ませます。嫌気タンクがある理由は、好気中でリンを蓄積する性質を持つ細菌は一度嫌気状態にさらしてやることで、その直後は普通に蓄積させるよりも多くのリンをを蓄積することができるからです。
○嫌気-無酸素-好気法
この方法は、上の二つを組み合わせたものです。つまり、嫌気タンクはリンを蓄積させる準備をするために、無酸素タンクは酸化態窒素を窒素ガスに還元するために、好気タンクではリンを蓄積させるためにとアンモニア性窒素を硝酸性窒素に酸化させるために用いられています。
以上で下水の浄化は終了です。ですが、下水道のページでも述べたように、汚泥の処理を含めて下水処理です。次は汚泥の処理方法について見てみましょう。