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森林生態系


森林生態系には、自然林生態系と都市域森林生態系、人為森林生態系があります。都市域森林生態系は都市によって分断され孤立化してしまった生態系のことをいいその特徴は自然林生態系とは全く違うものとなります。

自然林生態系は多様で持続可能な生態系であるといえます。その特徴は巨大な現存量を持つこと、分化した空間構造です。巨大な現存量とは、例えばブナ林であればその現存量は350ton/haで、これは畑や草地の10〜100倍に相当する現存量です。また、分化した空間構造とは林床植生、低木、高木、超高木という階層構造を持つことをさします。階層構造を持つということはそれだけ多様な樹種が存在しているということになります。

自然林生態系には、その特徴から次のような五つの機能を持っているといえます。

1.気象緩和

気象緩和とは森林内部が安定した環境であることをいいます。森林では林冠の葉層によって太陽光のエネルギーは吸収されてしまい内部にまでほとんど届きません。また、地表からの放射熱も少なく気温や湿度の日較差が小さくなります。

2.侵食防止

雨が降ったとき、裸地では水滴が地表に直接衝突します。このとき表面が少しずつ削られていきます。森林では階層構造を持っているため、雨が地表に衝突することがありません。したがって地表が侵食されることなく留まり続けることができます。

3.大気浄化

森林は生産者である植物の集まりです。そこでは盛んに光合成が行われ二酸化炭素を吸収し酸素を作り続けています。

4.土砂流出防止

森林内部の土壌は団粒構造をとっています。これは雨水の浸透を促進し樹木の根系を発達させます。樹木の根が発達すれば土壌は固定されるので流出を防ぐことができます。

5.保水

森林は緑のダムとも呼ばれるように地下に保水しておく機能が優れています。保水することで地下水脈を形成することができます。

人為森林生態系とは人の手によってつくられた生態系のことで、その特徴は単一樹種の集まり、同一年齢の樹木です。単一樹種で同一年齢であれば自然林生態系のような階層構造が得られず、生態機能が劣化します。また、林床植生が貧弱になり土砂の流出を招いたり斜面崩壊、地力低下、生物相の単純化といった問題を抱えるようになります。

現在ではこのような森林ばかりが作られているので、何らかの対策をとらなくてはいけません。そこで、貧弱な階層構造を改善するためにあえて伐採を行ったり、植樹を行う時点で樹種、樹齢が異なった小さな林をモザイク的に配置したり、里山と呼ばれる広葉樹の二次林を残したりといった対策がとられたりします。


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