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水粒子の運動


微小振幅波(2)で求めた速度ポテンシャルを用いて、水粒子の移動速度を求めることができます。これは、速度ポテンシャルを偏微分すればいいだけなので非常に簡単に求めることができます。では、水粒子の移動速度を求めてみましょう。

速度ポテンシャルをxで偏微分すればその方向の速度が求められます。進行波の速度ポテンシャルは

$\phi = - \frac{gH}{2\sigma}\frac{\cosh \left[ k \left( h+z \right) \right]}{\cosh \left( kh \right)} \sin \left( kx - \sigma t \right)$
だったので、これを$x$で偏微分すると
$u = - \frac{\partial \phi}{\partial x} = \frac{gkH}{2\sigma } \frac{\cosh \left[ k \left( h+z \right) \right]}{\cosh \left( kh \right) } \cos \left(kx - \sigma t \right)$
が得られます。また、$z$で偏微分すると
$w = - \frac{\partial \phi}{\partial z} = \frac{gkH}{2\sigma }\frac{\sinh \left[ k \left( h+z \right) \right] }{\cosh \left( kh \right) } \sin \left( kx - \sigma t \right)$
が得られます。係数がゴチャゴチャしているので、微小振幅波(2)で出てきた分散方程式
$\sigma ^2 = gk \tanh \left( 2\pi \frac{h}{L} \right)$

で整理すると
$u = \frac{ \pi H}{T} \frac{\cosh \left[ k \left( h+z \right) \right]}{\sinh \left( kh \right)} \cos \left( kx - \sigma t \right)$
$w = \frac{\pi H}{T} \frac{\sinh \left[ k \left( h+z \right) \right]}{\sinh \left( kh \right)} \sin \left( kx - \sigma t \right)$
とすることができます。

これだけではあまりにも短いので…ついでに水粒子の移動距離も求めてみましょう。移動距離は$u$、$w$を$t$で積分すれば求められます(当たり前ですね…(^^))ここで問題が生じます。その問題とは、「$x$や$z$も移動と共に変化してしまう」ということです。$x$や$z$も変化してしまうと$t$での積分が困難になってしまいます。しかし、今考えているのは微小振幅波理論です。微小な振幅なので、その水粒子の移動量の微小と考えてしまいます。すると$x$や$z$は変化しない量として扱うことが可能になります。

変化しない量とはいえ、それ相応に妥当な値を入れなくてはいけません。ここで考える妥当な値は水粒子の平均位置です。平均位置であれば、それほど大きな誤差は生じないだろうと考えるのです。平均位置は上にバーをつけることで表現します。計算してみると

$\xi = \int udt = - \frac{H}{2} \frac{\cosh \left[ k \left( h+\bar{z} \right) \right]}{\sinh \left( kh \right)} \sin \left(k\bar{x} - \sigma t \right)$
$\zeta = \int wdt = \frac{H}{2} \frac{\sinh \left[ k \left( h+\bar{z} \right) \right]}{\sinh \left( kh \right) } \cos \left( k\bar{x} - \sigma t \right)$
となります。この時点ではあまりよくわからないのでわかりやすい形にしましょう。わかりやすくするには、まず上の二式を整理します。
$\sin \left( k\bar{x} - \sigma t \right) = \frac{2 \xi}{H} \frac{\sinh \left( kh \right) }{\cosh \left[ k \left( h+\bar{z} \right) \right]}$
$\cos \left( k\bar{x} - \sigma t \right) = \frac{2 \zeta}{H} \frac{\sinh \left( kh \right) }{\sinh \left[ k \left( h+\bar{z} \right) \right]}$
のように整理できます。これをどうするかというと、三角関数には
$\sin ^2 \left( x \right) + \cos ^2 \left( x \right) = 1$
という式があるのでこれに代入します。すると一つの式にまとまって
$\frac{\xi ^2}{\left[ \frac{H}{2}\frac{\cosh \left\{ k \left( h+\bar{z} \right) \right\}}{\sinh \left( kh \right)} \right] ^2} + \frac{\zeta ^2}{\left[ \frac{H}{2}\frac{\sinh \left\{ k \left( h+\bar{z} \right) \right\}}{\sinh \left( kh \right)} \right] ^2} = 1$
という式にできます。少し見ずらいと思いますが、この様に書くと楕円の方程式と見ることができます。 $\cosh \left( x \right) > \sinh \left( x \right)$ の関係なので長軸は水平で
$H \frac{\cosh \left[ k \left( h+\bar{z} \right) \right]}{\sinh \left( kh \right) }$
短軸は鉛直で
$H \frac{\sinh \left[ k \left( h+\bar{z} \right) \right]}{\sinh \left( kh \right) }$
と求められます。また、深海波と極浅海波では近似が使えるので
$H e^{k\bar{z}}$ : 深海波 長軸
$H e^{k\bar{z}}$ : 深海波 短軸
$\frac{k}{2\pi}\frac{H}{h}$ : 極浅海波 長軸
$H\left( 1+ \frac{\bar{z}}{h} \right)$ : 極浅海波 短軸
のように簡単に表現することができます。移動距離の内容が思ったより長くなってしまいましたが理解できましたか?最後の近似は省略していますが、どう近似するのか考えてみてください。

$\sinh$ と $\cosh$ を $e$ を用いて表現できればすぐにわかると思います。


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