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対捕食者・被食者戦略

捕食者に対する被食者の戦略についての説明です。被食者はできるだけ捕食者に食べられないように、様々な戦略をとっています。その戦略は大きく分けて模倣、警告、擬態の三種類あります。順に見ていきましょう。

(1)模倣(カモフラージュ)

これは、捕食者に見つけられにくくするために自分の色や姿を背景や他の生物に似せる方法のことをいいます。色を似せる場合は特に保護色や隠ぺい色といいます。代表的なものは昆虫が植物の葉や樹皮によく似ていることが挙げられます。他には、雪の降る地方では白い動物が多いことが挙げられます。これは、捕食者にしろ、被食者にしろ背景と同色の方が目立たなくてよいというふうに考えられます。

(2)警告色、警告模様

模倣とは逆の手段です。これは、自分の姿を目立たせることで身を守ります。目立つようにすることで自分はまずいとか、毒があるとか、いやな臭いがあるということを表現します。そうすることで、捕食者に食べないほうがいいことを伝えます。毒キノコや毒ガエルなどは鮮やかな体を持っていることはご存知だと思います。それらがこの警告色や警告模様にあたります。

(3)擬態

捕食者から逃るために、自分の存在を広告するような種類に似せることをいいます。擬態はそのタイプに応じて分けられます。

(a)ベーツ型擬態

警告色や警告模様と同時に毒などを持っている生物に対して、その色や模様だけを擬態しているものをいいます。

(b)ミューラー型擬態

警告色を持っている生物同士の色や模様が似ていることをいいます。ハチが代表的で様々な種がいるのに黄と黒の縞模様は共通しています。

(c)攻撃型擬態

これは捕食者が行う擬態です。捕食者は被食者を捕まえやすくするために、被食者と同じような姿、色、模様、匂い、鳴き声などを擬態します。こうすることで、被食者は仲間と間違えて逃げ遅れてしまいます。

(d)種内擬態

同じ種で擬態を行う場合をいいます。具体的には、交尾のときに雄が雌に餌をプレゼントするガガンボモドキの仲間がいます。この種は行動で雄と雌を区別していますが、雄が雌と同じ行動をとることで他の雄が持ってきた餌を奪っていくことがあります。


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